Results matching “Apple” from Faraway dream

ビジネスモデル全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)ビジネスモデル全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)
三谷宏治

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2014-09-18
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ビジネスモデルを解説する書は枚挙に暇がないが、本書は歴史観点から考察しながらも、一話ごとに完結し読み物として独立しているのがいい。1400年代の金融概念から、1900年代に入って誕生したトラベラーズチェック、20世紀のジレットモデルや、コンピュータのIBMによる水平分業、任天堂、21世紀に入ってAppleの垂直分業、フリーミアム(そろそろ衰退しているが・・・・)とコンテンツは「全史」と言うにふさわしい。

難点は、価格か。厚みはあるものの空白部分の多い本書は、3000円を超える価格が妥当か迷うところ。欲を言えば、学生でも買える2000円以下が好ましいと感じる(本書はその厚みゆえ、Kindle等の電子書籍の方が利便性が高い)。
企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書)企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書)
松井博

アスキー・メディアワークス 2013-02-12
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派遣社員も経験しながら、AppleでiPadなどの品質管理でシニアマネージャーまで勤めた経歴を持つ著者。いろんな世界を経験したからこそ見えてくるのだろう、世界が国という枠組みを超えて、帝国と定義する大企業によって支配されている実態を書き下ろす。

新鮮な野菜・食材よりも遺伝子組み換え食材、抗生物質など化学肥料をたくさん使った食材やファストフードの方が安くすむため、マクドナルドや大手メーカーなどに依存していく。そしてそれが肥満を始め、健康に影響を及ぼす。しかし、保険も働く企業によって大きく異なる(著者はAppleを辞めて、保障の少ない民間の保険に月10万円払うことになったと述べている)。また、働き場所も、大手企業の社員がやらない危険な仕事が多くなるというように、一部の企業によって搾取されている現実を問題提起する。

読み物としては非常に面白かった。タイトルから個々の話がきれいに構成されており、わかりやすい。

ただし、個々の事象に対しては、一方的な印象は受ける。例えば、遺伝子組み換え食材は、それが開発されたことで多くの人々が餓死から免れるようになったことを考慮せずに悪とするのは、かつてのDTP問題などと同じである。また、提言として、Appleなどの優秀な人でオペラなど多彩な人が多いことを例にあげ、芸術の能力をみがく必要性を訴えるが、因果関係が疑問である。


禅、シンプル生活のすすめ (知的生きかた文庫)禅、シンプル生活のすすめ (知的生きかた文庫)
枡野 俊明

三笠書房 2009-06-19
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禅僧であり、庭園デザイナーであり、大学教授であり、ニューズウィークで"世界が尊敬する日本人100人"に選出された著者。悩みや苦しみを消し去る、 禅の考え方や教えが、100つ、掲載している。その中には『62 三毒(貪・瞋・癡)を捨てる』といった有名な仏教の教えから、『60 「禅の庭」を楽しむ』『86 物事を「善悪」で分けない』といった著者の主張の濃い(と思われる)ものまで種々あり、誰が読んでも必ず心が洗われる教えがいくつかはあるだろう。禅の教えを(タイトルの通り)シンプルに説いていて、時々読み返すことで心の平安をもたらしてくれたり、エネルギーをもらえる、 常に手元に置いておきたい1冊。

ところで、「禅」と言えばApple スティーブ・ジョブズなどにも影響を与えたことは有名だが、同じくAppleに勤めたことがあり、禅の心を取り入れた”シンプル・プレゼン”のガー・レイノルズは、Simplistic と Simplicity の違いを強調していた(C.f. 過去セミナー)。『15 部屋をシンプルに整える』に書いてある”「簡素」と「質素」の違い”を見て、あぁ、このことを言っていたんだと納得。ただ、言わんとすることは理解できるが、「簡素」=無駄をそぎ落とす、「質素」=価値が低い という定義はいまいちと感じる。ここは、英訳したSimplistic と Simplicity の方が、納得感があった。

kobo touch

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Sonyのリーダーや、SHARPのガラパゴスなど混沌としていた電子ブック市場。amazonのKindleと、楽天の(買収した会社の)kobo が日本市場参入を発表してから、いよいよ本格的に普及するかと期待していたのだが、そのkoboが Kindle に先手を打つ形で7/19にリリースを発表したので、予約し、早速入手した。
結論から書くと、少しリリース時期を急いだ感が否めない。少なくとも現時点では、万人向けとは言えない。

まず購入に先立ち、電子ブックに期待していたこと、即ち購入の判断材料は
・ハードウェアのコスト・ストレスフリー
・コンテンツの量・質
の2項目×2点の4つである。

まずハードウェアのコスト。いくら利便性や先進性に惹かれるとはいえ、あくまでも本を読むツールでしかないので手軽に扱える価格が第一である。その点、7980円と十分安価である。しかも事前予約で購入した場合、最大楽天のポイントが3000ポイント付与されるので、実質5000円を切るので申し分ない(実際、コンテンツが発表されていないので正直不安もあったのに事前予約で購入した、最大の理由である)。

次に ストレスフリー だが、これはいかに紙の代替となりうるか、即ち自然に本を読め、利便性が増すか。こればっかりは使ってみないと何とも言えない点であった。事前に入手できた情報としては仕様のみが判断材料となるが、Kindleと同様にE-inkを使用しており、視認性は良い。バッテリの持ち時間はKindleよりは短いものの1ヶ月と申し分ない。また、KindleにはないmicroSDのスロットもあり、拡張性も考慮されているので、より大量の本を持ち歩ける。

2点目のコンテンツの量・質だが、これは言わずもがな、ハードウェアが欲しいのではなく、あくまでも中身が重要なのである。koboはもともとカナダの会社のもので洋書は240万冊あるのだが、和書は当初3万冊という数の発表のみ。タイトルはおろか、出版社名すら事前に発表されていなかったので、事前予約はある意味賭けでもあった(正直、前述のポイントがなければ様子見だっただろう)。

そんなこんなで発売日当日の19日、予約していたkoboが送られてきた。
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Appleのパッケージをかなり意識しているのが見て取れる。箱の表、裏はkobo本体の色と連動している。

手に取った感想は、大きさ、重さとも申し分ないの一言。文庫本1冊よりも手軽に持ち歩ける。これで、ハードカバーの本を持ち歩かなくて済むようになり、また専門書の類をいつでも持ち歩けるようになったら、と期待で胸躍る。質感も、さほど安っぽさは感じず。つや消しのラバーコートされており、滑って落とす危険性も低減してくれそうである(ただ、指の油分によるてかりなど、経年変化も目立ちそうではある)。

さて、最初のアクティベーション時のみPCが必要とのことで、専用アプリケーションをダウンロード。接続して登録やらなにやらやるのだが・・・まずここで当初の判断基準の1つ、ストレスフリーに黄色信号がともる。ソフトが遅い、アクティベーションの登録がなかなか先に進まない、よくわからないエラーでやり直しさせられる、できたと思ったら無線LANが繋がらなくなってうんともすんとも言わず、初期化してやり直す羽目になったり。amazonのKindleが、当初から高齢者にも受け入れられていたのが成功要因の1つと考えているが、こちらはそう言う意味で使用者をITリテラシーと精神的な耐久力で選別する(遅い、エラーはサービス当初故、キャパシティオーバーなのかもしれない)。

次にコンテンツだが、予想以上にがっかりだった。まず量が少ない。とても和書は3万冊ない(青空文庫含め、18,000冊程度)。そしてその内容も、良くわからない(=おたくっぽい)2次元のアニメがやたら多く、トップセラーになっている本は皆無、値段も本体のような戦略的な価格付けがなされておらず、とても選べるようなものではない(出版社との版権問題などもあるのだろうが、少なくとも利用者からすれば、現状ではコンテンツを売れない電子ブックはそれ相応の価格が望ましい)。ついでにkoboイーブックストアについても勝手を言うと、遅い。なんとか我慢していろいろ見るも、分類がひどい。キッズ・ティーンズは2次元アニメか、洋書である。また、和書・洋書をミックスするくらいなら、せっかくある楽天Booksと統合して欲しいところ。amazon.comのように、現物の本の新品・中古と電子ブックを1つで比較、購入先を選べるのが理想である。

以上より、最初に述べた結論通り、まだまだ発展途上である現状で購入を薦められるのは、
・洋書を読む(数、質共に申し分ない)
・青空文庫を読む(でも中古本でも十分な気が、決定打にはならない)
・自炊したもの、PDFを読む(但し、本体のサイズが小さいこともあってスクロールが必要となるので、iPadなどとのポジショニングが難しい)
・ただ新しいモノ好き
に該当する人くらいだろうか。

Apple Debut. Mac book air

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20年程度のPC利用で、ずっと手を出していなかったMac。
今回、とあるイベントを転機にノートPCの購入を検討、MacBook Air 13 inch を購入。以下、駄文ながら思考記録まで。

数年前のMacbook AirのDebutから製品としてはずっと気にはなっていたものの、個人用ノートパソコンの必然性が無く、またWindowsとの違いから買うとしても今までの経緯からThinkpad を選択しようと思っていた。しかし、いろいろ考えれば考えるほどWindows PC の必然性が低くなっていた。

・アメリカでは、ビジネスでもMac率が高い(逆に日本では、個人で手を出さないと経験する機会が少ない)。
・昨年10月にiPhone 4S を購入してしまったので、Anti-Appleのポリシーは既に崩れている。
・Cloudの流れで、ほとんどの作業はWebで完結する。また、使用頻度の高いClient Application、Microsoft Office も Mac版は安い。その他フリーソフトも、Mac版がほとんど出ている。
・いざとなればWindowsも動かせられる。
・性能・コストのパフォーマンスがそもそも高い上、会社の福利厚生の一環で安く買える。
・”慣れ”を理由にWindowsばかりを選んでいては、脳に刺激を与えられない。

数ヶ月の検討を経て、購入。数日での使用では、まだまだキーボード・ショートカットのPCとの違いに戸惑いが多いが、洗練されたボディとOSに感心も多い。
冗長になるが、ノートパソコンの鬼門となるバッテリについても一言。1回あたりの使用時間もそうだが、寿命が非常に気になる。コンセントに繋いだまま使用していると、容量の100%近くで充電・放電を繰り返し、毎日使用していると1年程度で寿命になってしまう。充電開始・終了をパーセント単位でコントロールできるThinkPad の考えは非常に好きであったが、通常電圧CPUを採用することが多く(それはそれで製品の可用寿命が長いのだが)、1回の使用時間が他社製PCと比べて短いのが玉に瑕であった。Macbook Air は充電・放電タイミングの設定はおろか、内蔵バッテリなので交換すらユーザーが行えない。その思想は忌み嫌っていたが、13インチ版は公称で7時間使用可能、スリープは30日間維持できるうえ、充電・放電を自動でコントロールすることで5年程度の寿命という。ここまでくると潔いというか、考えを改めざるを得ない。
成川式文章の書き方―ちょっとした技術でだれでも上達できる
成川式文章の書き方―ちょっとした技術でだれでも上達できる成川 豊彦

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文章の善し悪しは、常套となる「型」を知っているか知らないかでだいぶ違ってくる。本書はそうした「型」毎に改善ポイントと悪い例・良い例とともに多数掲載されている。大抵は小学校の作文で一通りのことを習った後はなかなか文章を添削される機会も少ないので、そうした「型」(ルール)を知らない・忘れていることも多いだろう。事実、本書を一通り読んで知らないこともあった。

一例を挙げると、”37 カギカッコでくくった文章には句点「。」を打たない”。
悪い例(抜粋)
 ①「今日は雨が降った」。
   「今日は雨が降った。」
良い例(抜粋)
 ①「今日は雨が降った」
 ③花子は言った。「今日は雨が降りそうね」。
 ④「今日は雨が降りそうね」。花子は言った。
基本はタイトルの通り、悪い例、良い例の1番目だが、良い例の③④のように前後で文章が続くときは打つ、など。
※但し、”昔は閉じ括弧の前にも句点を打つことがあった”と記載の通り、市販の書籍でも句点が打たれている文は多い気がする。

いろいろ参考になった書籍だが、各種のルールで、例が具体例をあげるものの本質的でない印象を多々受けた(例えば、”一般に、慣用が固定していると認められるもの”<P.241>などは判断を読者にゆだねるよう受け取れる)。また、常用漢字を使用する(P.160)例として、”新製品の進捗状況”を悪い例とし、良い例に”新製品の進行状況”をあげるなど、一般的なビジネスの実態からは疑問の箇所もある。
数学的思考の技術 (ベスト新書)
数学的思考の技術 (ベスト新書)小島 寛之

ベストセラーズ 2011-02-08
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惜しい。タイトルがいかにも学術的で興味をひくものではないのだが、中身はわかりやすく(難解な部分もあるが)面白い。まずは目次を一部、引用する。

第1部 不安定な毎日を生き抜くための数学的思考
第1章 相手を自分の思い通りに動かすには
第2章 給料が上がらないのはなぜか
第3章 人に本音をいわせるテクニック
第4章 「だらしない人」の経済学
第5章 年金問題を数学から考える
第6章 協力って、大事?
第7章 不確実な世界における行動法則
第8章 勝ち組は、運か実力か
第2部 幸せな社会とはどういうものか
第1章 どんな経済、社会が望ましいか
第2章 今、コモンズを考える
第3章 デフレ不況への処方箋
第4章 伝統的な経済学の限界
第5章 お金より大切なものはあるか
第6章 私たちが暮らすべき魅力的な都市とは
第7章 人間の「不完全知」といかに向き合うか
第3部 「物語」について、数学的思考をしよう
~省略~

タイトルで手に取らせ、中身が薄っぺらい本ほど腹立たしいことはないが、本書は正反対。凡庸なタイトル(失敬!)と比べ、各章のタイトルは興味をそそられるではないか。そして、中身はもっと面白い。日経新聞に時折登場する、経済の解説やゲーム理論などをわかりやすく、論理的に解説されている。

例えば第1部 第2章から、リスクを取らなければ人並みの給料しか手に入らないことが証明される。その他、人々が衰退産業にしがみつく理由として「ダウ&ワーラン効果」を解説したり(P.84)、魅力的な都市の条件が普通に考えるのと正反対、狭くて古今の建物混在し複数の機能を持って人口密度があること(P.158、アメリカの都市学者ジェーン・ジェイコブスが調査・分析)、など目から鱗の話も。

終盤は村上春樹の世界観が出てきて、単に数学的世界だけではなく飽きないと同時に、複雑な世界観の思慮を要求する。
DENON ネットワークCDレシーバー ホワイト RCD-N7W
DENON ネットワークCDレシーバー ホワイト RCD-N7W
デノン 2010-10-25
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長年、理想とするオーディオを求めてきてやっと巡りあった一品。求めていたスペックは

・ネットワークに無線/有線で繋がり、メディアサーバー機能搭載(ファイルサーバーの曲、MP3などを再生できる)
・メディアはCD、USB、AUX程度。(可動部は極力減らしたいので、チェンジャーは不要)
・価格は1桁前半(マランツなど、高級Audioではあったが5万円以下では皆無だった)

であったが、これは更に、

・iPodのドッキングステーション有り
・インターネットラジオ対応
・オプションのファームウェアUpdateでiTunes/iPod/iPhone/iPadのAirPlayに対応

と、ほぼ望む機能は完全網羅していた。悩んだのは買い時のみであった(現状は4万円超で落ち着いているが、発売当初は4~5万円の間をめまぐるしく変動)。機能詳細はDenonのHPを参照いただくとして、半年以上使った感想を以下に記載。

■長所(Pros)
とにかく機能が必要最低限、シンプルで良い。無線LAN(APにはCoregaのCG-WLR300GNEを使用)との相性も比較的問題なく(※短所でも後述)、IEEE802bgと干渉する電子レンジを5mほどのところで使用していても問題なし。好きな曲や英語のCDなど、聴きたい時にすぐ再生できる快感は、一度覚えたら止められない。予想外に使っているのがInternet Radioで、BBC のチャンネル(特に現地日曜日放送)に流れるBGMがどこか懐かしく、心地よい。本機を手に入れてから、CDを再生する必要性がほとんどなくなったのがいい。過去のも含めて、CDをリッピング、MP3などでメディアサーバーに放り込んで置けば済むのだから。

■短所(Cons)
ディスプレイが小さいのはデザイン性もあるだろうが、サーバー内に大量にあるファイルを探すことを考えていないIF。昔ながらの十字キーでひたすらカーソルを移動する操作は、時代遅れもいいとこ。この辺はiPhone/iPod touch用のアプリを入れれば済むのかもしれないが、未だ未確認。AirPlayも(Appleへのライセンス料か)Option料金はちと高いと言わざる得ない。他、ルーターとの相性か繋がらなくなり、WPSの再設定をしたことが2度ほど発生(原因不明)。

といろいろ好き勝手書いてみたが、満足した一品であることは変わらず。未だ4万円を切らず、大手家電量販店は5万円台半ばで売っていたりと値崩れしない。最近、もう少し上の8万円前後の機種も増えてきて選択肢も増えてきているが、なぜこれほど便利な機能がもっと流行らないのか不思議なくらい。

唯一、希望と異なっていたのは色だったが、今では黒も出ていてちょっと悔しいところ。
観想力 空気はなぜ透明か
観想力 空気はなぜ透明か三谷 宏治

東洋経済新報社 2006-10-20
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主題の”空気はなぜ透明か”はアクセンチュアの採用面接で三谷氏が課したお題とのこと(P.1)。発想力や、はてはなぞなぞのように捉えてしまいそうだが、アクセンチュアの面接課題、かつ三谷宏治氏の著書とあり、そこには至って普遍的で論理的な展開が成される。

常識に囚われず、本質を見抜くか。著者はそのためのポイントを「視点」、高さの「視座」、見通し方の「切り口」と説き、その力を「観想力」と名付けている。前半でそのポイントの説明や各分野の(将棋の羽生名人など)言葉を引用、後半には種々のビジネス成功モデルのケーススタディ、最後に2×2のマトリクスツールの解説と続く。

難しいことを簡単に、深く、面白くまとめられた内容は感銘の限り。なぜもっと早く手に取らなかったのだろうと思う。

余談ながら、世間一般ではクラウゼヴィッツ的な理論はなかなか理解されない。しかし、正しい視点を持つトレーニングの1つと記された”無定形に知識ベースを拡げる --- 乱読のススメ”(P.179)のような論調は、クラウゼヴィッツ理論を頼る者としては嬉しいと共に心強い。
8月27日(土)開催の日経アソシエ主催、ロバート・ヒルキ氏のTOEIC速攻セミナー
http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nba/semi67/

著書『新・TOEIC直前の技術』 でロバート・ヒルキ氏の名前を知り、今回そのセミナーということで申し込み。(中村澄子氏の勉強会といろいろ迷うが、1日で終わり他へのインパクトが少ないことと、次回9月11日の試験対策の一環としてこちらを申し込む。)

まずセミナーの言語、基本は終始英語なのだが、在日歴が長い(30年超)こともあり、また妻が日本人とのことで日本語は流ちょう。時折、日本語でしゃべったり日本の単語を織り交ぜたりする。また英語も、TOEICを研究し続けて日本人・韓国人の苦手分野を理解しているだけあり、平易な文・単語が多く、普通に喋っているときも聞き取り安く、理解しやすい。

肝心のセミナー内容だが、なるほどと頷くものから目から鱗が落ちるものまで、氏のテクニックがいろいろ紹介される。こうした類のテクニックは邪道という意見もあるが、王道でもある。日本では否が応でもTOEIC偏重のところが多く、まずは点数ありきなのも事実。であれば、こうしたテクニックを知っておいて点数を出してしまえばいい。それから、趣味やより実務の英語勉強をすればいいのだから。

TOEIC対策としてはもちろん、ユーモア有り楽しめる終止楽しく参加できた。
BE-PAL (ビーパル) 2011年 07月号 [雑誌]
BE-PAL (ビーパル) 2011年 07月号 [雑誌]
小学館 2011-06-10
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驚きのオリジナルのマルチツール(ミニプライヤー・プラスドライバー・マイナスドライバー・ヤスリ・栓抜きなど)が付録の30周年記念号。あっという間にどこも売り切れだったが、たまたまとあるコンビニで発見。付録の精度に驚き。また、別冊のロープワープブックも参考になる(この手の本は1冊は家に置いておきたいが、コンパクトで有益。難点は紙質がいまいち)
あまりに付録のインパクト・有益度が高く、肝心の雑誌の内容が白けてしまうほど(いつも通りなのだが)。
戦略は直観に従う ―イノベーションの偉人に学ぶ発想の法則
戦略は直観に従う ―イノベーションの偉人に学ぶ発想の法則ウィリアム ダガン William Duggan

東洋経済新報社 2010-09-29
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Planned Happenstance Theory を知るまで、盲目的にキャリア目標を設定することに懐疑的だった。本書はその組織版とも言え、目標ありきの組織運営に疑問を持っていた身としては、本書に光明を見た。

様々な戦略家を紹介するが、特に重要となるのがナポレオンの戦史を研究した、「戦争論」の著者クラウゼヴィッツと「戦争概論」の著者で実際にナポレオン軍の副官であったジェミニである。前者は「クーデュイ(coup d'oeil)」というひらめき、戦局眼といった概念で、「歴史の先例」「平常心」「ひらめき」「意志の力」の4段階で、異なる状況下の断片的な情報から決断する本質、即ち戦略的直感を説く。これに対しジェミニの戦略的計画は「自分の立ち位置(A地点)」「目標(B地点)」「A地点からB地点へ到達するための計画」の3段階で戦略を練ることであり、現代社会の企業その他組織運営の糧となっている。

「戦争論」の難解さも影響した模様で、ジェミニによってもたらされた「戦略」「戦術」「ロジスティクス」といった単語が一般化し、ジェミニ方式が現代で主流となっている。しかし、不確定要素を考慮していない目標ありきは、時に立ち回らなくなる。事実、”ナポレオンも直感的な行動こそが、戦争に勝利するために必要なのだ。”と述べていたという。(P.87)

著者のクラスで質問するという、以下の質問にあなたはどちらを選ぶだろうか。

A 自分を信じ、明確な目標を設定し、懸命に努力すれば、どんなことでも成し遂げることが可能だ。
B 機会に備え、機会を見極め、機会に基づいて行動すれば、多くの事柄を成し遂げることが可能だ。

Aを選択する人が、特にアメリカで多いという(日本でも、Aの方が過半数になると推察する)。これはアメリカンドリームを夢見て、成功者の偉業に身を重ねて「なせばなる」的な発想だが、数多の失敗者や、環境など外的な成功要因に目を向けなくなる弊害がある。

本書の中に紹介された学生の言葉そのものだが、まさに、いままで(言葉も知らなかった)ジェミニ式アプローチに代わる方式があるとも知らず、言われるがまま目標設定をしてきたことか。目標を設定し、努力した結果、目標を変更することとなれば挫折感を味わうか、あるいは無神経にならざるを得ないにも関わらず。

マイクロソフト、Apple、Google、ルイス・ガースナーなどイノベーションを実現したケーススタディも多数用意されており、読み物としても面白い。

以下、備忘録。
・ギリシャ語の「Planets[惑星]」は元来「放浪者」を意味する。(P.19)
・海馬とはギリシャ語で「タツノオトシゴ」を意味する。(P.47)
Amazon.comで「プレゼンテーション Zen」が年間売り上げ3位に輝いたガー・レイノルズ(Garr Reynolds)氏のプレゼン・テクニックセミナー。会社に費用を出してもらい、参加。
住友電工、Apple、そして現在は関西外大で助教授という経歴の持ち主で、茶道、空手等日本に対する見識・興味が深い(しかし日本語は単語+少しのフレーズ程度)。特に、「禅」と、Appleで研究したスティーブ・ジョブズのプレゼンを融合したプレゼンテクニックは非常に興味深い。

12:00~17:00とほぼ半日で、論理的な説明からテクニック、それらを体感的に実感させるためのネタ(アメリカのCMやスターウォーズなどを多様)が満載、グループワークなどを織り込みながら最後まで集中力を途切れさせない内容だった。
まず、"(Microsoft) PowerPoint is not the presentation."で始まる。箇条書きで始めてしまうことから、結果、見る人に分かりにくいものとなってしまう。本質は何かを、Analogで作る。Simpleにする。

特に興味深かったのが、Simplistic と Simplicity を勘違いするなと言うこと。要は、シンプルが自分勝手か、相手のためかと言うこと。前者の例が複雑な日本のケータイ、後者がiPhone。これはプレゼンだけでなく、様々な場面であり得る。
デザインと言うことで写真のテクニックなども紹介されている。

参加者はほとんど日本人で、企業の教育担当者の方から、外国の行政で働いている方、企業経営者など様々な人種がいる。(内容が内容だけに、iPhone率が非常に高かった。)
参加費が約3万円ということもあり、会社参加の方含め冷やかしでの参加が見られなかったのも特徴。
内容は

プレゼンテーション Zen デザイン
プレゼンテーション Zen デザインGarr Reynolds ガー・レイノルズ 熊谷 小百合

ピアソンエデュケーション 2010-06-25
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おすすめ平均 star
star泥鰌
starニューヨーク出張直前に買いました
starデザインを考えないと

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がベースとなっており、その中からピックアップされている。本書がテキストとして配られるが、セミナー中は特に参照したりはしなかった。こういう類のセミナーでは情報量の多いテキストに目を奪われがちだが、とにかくレイノルズ氏のプレゼンテーションが体で、声で、五感に訴えてくるので一度もそのようなことがなかった。

常に満足度・実用度の高いセミナーだった。
日本人へ リーダー篇 (文春新書)
日本人へ リーダー篇 (文春新書)塩野 七生

文藝春秋 2010-05-19
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おすすめ平均 star
star本にする理由は?
star「カッサンドラ」の予言にならなけば良いと思うが...
star少し古いですが

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文藝春秋の連載が書籍化。必ずしも1冊の本としてストーリー・結論があるわけではないので、そうしたものを想像して読むと予想外である。

個々のストーリーは、塩野 七生 だけあり古代ローマの事例が多分に紹介されているのだが、まさに日本では、身近なことでは、自分のことでは、とはっとさせられる事が多い。


500年続いた古代ローマの滅亡について、弱体化し始めた3世紀頃からの記述。
人を代えようと、(中略)やらねばならないことはもはやはっきりしている。(P.39)
なぜか、機器の時代は、指導者が頻繁に替わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか。だがこれは、夢であって現実ではない。(P.40)

このフレーズだけを読めば、現代日本のことかと錯覚する。

人間にも年齢があるのに似て、組織にも、そして国家にも年齢があるのだと。(P.48)

自己反省は、絶対に一人で成されねばならない。決断を下すのも孤独だが、反省もまた孤独な行為なのである。(P.109)

こうしたメッセージが歴史を題材に発せられているだけに、烈につきささる。

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則カーマイン・ガロ 外村仁 解説

日経BP社 2010-07-15
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おすすめ平均 star
starこれは授業改善の本だ!
starプレゼン能力は才能ではなく努力次第
starジョブスはジョブスになるために努力する

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スティーブ・ジョブズのプレゼンをAppleやApple製品、スティーブ・ジョブズのBiographyとともに科学的に、詳細に記されている。まず、この類の本では珍しい400Pのボリュームが読み応えある。
大まかな流れは最初にプレゼンのポイントを説明し、スティーブ・ジョブズのプレゼンで具体的に解説している。特に、ジョブズのプレゼンでは流れから話した内容、単語と事細かに分析されており、読み物としても、プレゼンの具体的なテクニック研究としても有益である。

また、スティーブ・ジョブズがさぞかし天性のプレゼンターなのかと思いきや、人一番の努力家であるというのも意外な事実であった。「習得には1万時間が必要(P.318)」はずしりと響く。マルコム・グラッドウェル、ダニエル・レビティンによる1万時間の法則、すなわち世界的な達人の域に達するにはどの分野においても、脳が学習する仕組みから1万時間必要とのこと(1日3時間、1週20時間で10年間かかる)。
大人げない大人になれ!
大人げない大人になれ!成毛 眞

ダイヤモンド社 2009-11-20
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おすすめ平均 star
starものまね注意!!
star軽く読めました
starウケました

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マイクロソフト日本法人の元社長で有名な成毛眞氏の1冊。とことん、自分に正直に、興味を持つことに一生懸命になる生き方は羨ましくもある。人によっては(結果を出さなければ)白い目で見られそうだが、これを会社に当てはめると大人になってしまった会社・マイクロソフト vs 大人げなさを持った会社Google(あるいはAppleも入ろう)、どちらが勢いあり魅力的かは納得できる。
Chapter5 は主旨が変わり、圧倒的な読書量を誇る氏推薦の本紹介だが、その内容がまた面白い。
のぼうの城
のぼうの城和田 竜

小学館 2007-11-28
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おすすめ平均 star
starスカッとさわやか
star堤防決壊の大スペクタクル
star軽く薄っぺらい

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直木賞にもノミネートされ、2011年公開予定で映画化が決まった1作。
天下統一を目前にした豊臣秀吉が北条氏を攻めた際、石田三成率いる2万の大軍にたった500騎で徹底抗戦した武蔵国・忍城を舞台にした歴史(エンターテイメント)小説。

圧倒的不利な状況をいかにして戦ったか。本作はそうした戦術もさることながら、のぼう(でくのぼう)と領民から呼ばれる城代 成田長親 を始め個性豊かな登場人物も読む者を惹きつける。ストレートな展開ではあるが、読んだ後も爽やかであり、娯楽小説としても楽しめる。
黄金の島(上) (講談社文庫)
黄金の島(上) (講談社文庫)真保 裕一

講談社 2004-05-14
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starもっと特徴を
star東南アジア独特の熱気と喧噪、混乱がとてもよく伝わってくる
starちょっと長い・・・

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映画化で有名なホワイトアウトの原作者 真保 裕一 著。暴力団の権力抗争から国を追われたヤクザの主人公は、逃げ回るうちに知り合ったシクロ乗りの少年団と関わりを持つことで物語は進展していく。腐敗した社会の中、日本を夢見て身を削る少年達を通して、幸せとは何か考えさせられる。
物語は駆け引き有り、意外な出来事があり、読む者の集中力を切らさない。
スティーブ・ジョブズ神の交渉力―この「やり口」には逆らえない! (リュウ・ブックスアステ新書 48)
スティーブ・ジョブズ神の交渉力―この「やり口」には逆らえない! (リュウ・ブックスアステ新書 48)
経済界 2008-05
売り上げランキング : 5660

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star「いい人」にはいい薬になるはず
starこれが交渉術?
starこのタイトルは疑問。

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これほどまでに自己中心的かと思うそのやり方は、凡人から見たらスティーブ・ジョブズのやり方は理解に苦しむ。その非凡なる執着心・妥協を決して許さないスタンスから、非凡な製品が生まれてくるのもまた事実。
本書ではスティーブ・ジョブズの生き様からAppleやピクサー、コンピュータの歴史まで様々なストーリーが織り込まれている。IBMがWindowsではなくネクストのOSを検討していた話のような歴史上のIFから、ディズニーとの関係、さらにコラムでは本田・松下(Panasonic)・ソニーなどの企業者やさいとうたかを(ゴルゴ13の著者)の考えなども織り込まれていて、話題・内容共に非常に満足度の高い1冊。

Flight Computer 'E6B' iPhone App

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sporty's より、iPhone(iPod Touch)向けのE6B アプリがリリースされた。
$4.99、詳細は以下より。

自動車世界では当たり前のNaviだが、まだまだ飛行機の世界で(特に日本では)Digital Equipmentsは高価で高嶺の花だったりする(GPSが正式な航法として認められたのも最近だが)。iPhoneや先日日本でも発売されたiPadで、こうしたアプリでFlight ComputerやNaviを低価格で実現できることに改めて感慨するとともに、Appleのすごさを実感せざるを得ない。

なお、BlackBerry版のE6B(Trial版)も以下であり、BlackBerry AppWorldだがDoCoMo回線でDownloadできた。こちらは後実証予定。

http://appworld.blackberry.com/webstore/email/6675


c.f.雑誌: 週刊 ダイヤモンド 2010年 5/15号 アップル丸かじり

 内容(「BOOK」データベースより)

イジメ、非行…居場所がなかった青春。そして偏差値40からの一流大学への挑戦。大学を卒業し、本当の現場を見たいと渡ったアジア最貧国。腐敗にまみれた国で見つけた眠る素材、出会う人々。やがてバッグ造りで起業を決意。数々の失敗、挫折、裏切りに遭いながらも歩みを続け、途上国発ブランド、マザーハウスを軌道に乗せて各マスコミで注目の女性。明日へ向かう力に溢れたノンフィクション。
裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)
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講談社 2007-09-22
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star前向きにぶつかる生き方が素晴らしい
starとってもすごい人なんだけど、とても親しみを感じてしまう
star刺激もらえます!

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「マザーハウス」のブランドで見かけることが多くなったバッグの会社・起業記。人は(例外なく自分も)何かを考えたときに失敗の不安やリスクで躊躇してしまうことが多いが、筆者はまず行動から入る。人並みに悩み、苦労するのだが、壁にぶつかる度にそれを乗り越えてきたその努力に、ただただ脱帽。

著者の生き方を見ていると、如何に自分が狭い範囲で生きているか思い知らされる。自分で自分の壁を作ってしまっている、せまい領域(学校・会社)で一喜一憂している、などに少しでも思いあたる場合、本書が新たな風を吹き込んでくれる1冊になる。
傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)
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光文社 2009-06-17
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starタイトルそのままズバリで内容にうなった
star自らの権威を守るために新療法を拒否する医師は恐ろしい
star医学界全体の問題についても言及されている

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傷を消毒して乾燥する治療を真っ向から否定する本書。ここでの正しい傷口治療は
①出血を止める
②ハイドロコイド(商品名:キズパワーパッド)、プラスモイスト(http://www.allergy-biz.com/ などで購入可能)、白色ワセリン(商品名:白色ワセリン、プロペト、Vasellin)、あるいは食品ラップで覆って乾燥を防ぐとともに、1日数回、汗や滲出液(ジュクジュク)を洗うだけというもの。消毒液は外敵を攻撃する皮膚常在菌までも殺してしまい軟膏(クリーム)は含まれる界面活性剤が傷ついている細胞を破壊するため逆効果といている。それらの内容については治療結果や、自らの体実験結果で示している(http://www.wound-treatment.jp/)。ではなぜ、誤った治療が未だ医療現場で横行するのか。権威の話、思考停止等々でるのだが、話は中盤からは「99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方」と同様にガリレオの天動説・地動説問題同様、時代時代に誤った定説があること、それが正される経緯をパラダイムシフトとして説明。
後半は皮膚と体内が異なる治癒能力・過程があることを、生物の進化の過程から説く。間等、陸に上がった生き物は体内(血液)から治す仕組みが出来上がったのに対し、皮膚(表皮)は傷つきのシグナルで回復する。後者のシグナルとはドーパミン、即ち脳は皮膚から作られたという仮説まで登場する。
序盤は、消毒など既存の考え方がいかに間違っているか、延々と説かれるのかと思っていたが、中盤以降は前述の通り科学や歴史、生物の進化から意外な仮説検証まで、最後まで一気に引き込まれる内容だった。実用書としてはもちろん、物語としても非常に面白い1冊。
c.f.
以下、読後メモ
・昔、外科は床屋の仕事だったため、赤(動脈)・青(静脈)・白(包帯)のサインポールが使われる(P.142)。
・ゼンメルワイスとリスター(P.88)
・パラダイムはトーマス・クーン(1922~1996)が定義(P.149)
・生まれたばかりの新生児を母親が抱く、授乳するのは母親の皮膚常在菌を分け与えて定着してもらう意義がある(P.220)。
内容(「BOOK」データベースより)
子どもの頃から失読症でものを覚えるのに苦労している私は、どのようにして認知科学の博士号を取得し、グーグルのCIO(最高情報責任者)まで務めたのか。押し寄せる情報に対処するには、まずは社会や自分自身が課す制約をうまくかいくぐって、脳にストレスを与えないことだ。また、情報はクラウドに預け、整理するのではなくて検索する術を身につけること。いま世界が注目する情報の達人が、自らの体験を交えながら、「整理術の原則」を伝授。またGメールやグーグル・カレンダーなどの知る人ぞ知る活用法も公開する。
 

グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice)

グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice) Douglas C. Merrill

早川書房 2009-12
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star情報は整理するのではなく検索する・・・を理論付け(?)した御話。アメリカ企業人が考えそうな話。
star決してデジタルだけの話ではなくて
starいつでも検索できる時代だけに、技もまた進化する

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 Google の CIO をつとめた著者による整理術。如何に、脳の負担を軽減するかという視点で整理術を説いているのが面白い。内容は大まかに分けて、

・整理の考え方、方法(紙・デジタル併用)

・Googleを始めとした、デジタルツールの紹介

・人生のピンチに対する心構え。

実際にGoogleの登場で情報の扱いが整理→検索へ移行してきたように、著者も整理で頭の短期記憶メモリーに負荷をかけない方法を推奨する。そしてそれを実現するためにGoogleを始めとしたデジタルツール(主にWeb Service)を紹介。

著者の方法、Google サービスを強要する物ではなく、あくまでも推奨レベルという立場。また、全てデジタルベースと思いきや、明細書は紙を使用していたり、iPhoneを始めAppleのサービスを利用していたり、モレスキンのノートを愛用しているなど、ガジェット全般に興味ある人はもちろん、他人の情報整理術を参考程度に垣間見るだけでも面白い。

GMail や Google Reader を利用していない人はもちろん、巻末にDropBoxなど各種Web ツールの紹介があり、参考になるだろう。また、日本では対応していない、Google 本国の先進的な使用法も目から鱗だったりする(例えば、携帯のSMSで検索指示・結果受け取りができる等)。Googleの使用法等は専門の書籍が出ているのでそちらに負けるが、情報カード→野口悠紀雄氏の整理術に繋がる、タイトルが示す通り新しい整理術として参考になる1冊。

 

関連書籍:

短期記憶メモリーについては以下の書籍にも記載。

もっと時間があったなら!―時間をとり戻す6つの方法

プレスリリース、スピーチ等からスティーブ・ジョブズの言葉をピックアップし、解説。 

 e.g. 今日が人生最後の日なら、これからやることは自分がやりたいことか?

    ゴミを売ることだけはできない。


スティーブ・ジョブズ 成功を導く言葉 (青春新書INTELLIGENCE)
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青春出版社 2009-06-11
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starジョブス礼賛の書。ジョブスの言葉は深いけど...
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自身、比較的アンチApple(Mac)思考であったが、それでも昨今のipod/iphoneの躍進は興味を覚えざる得ない。アップルの原動力をかいま見られる1冊。好き嫌いや考え・生活等の違いから(私を含め)全ての言葉に共感できるわけではないが、逆に誰にでも人生に役立つ言葉が1つや2つは隠されている。